大惨事と情報隠蔽
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大惨事と情報隠蔽: 原発事故、大規模リコールから金融崩壊まで
ドミトリ チェルノフ (著), ディディエ ソネット (著), 橘 明美 (翻訳), 坂田 雪子 (翻訳) 草思社:¥3024
トヨタ・リコール問題、福島原発等を含む日米欧露亜の多様な事例。共通項が明らかに
本書の強みの一つは、事例の豊富さと幅広さです。日米欧露およびアジアの事例を偏りなく検証しています。日本の例ではトヨタ・リコール問題や福島原発、水俣病が取り上げられるほか、情報共有・公開がうまく行った例として、トヨタ生産方式やソニーのバッテリーリコールを紹介。業種・分野の多様さにも特筆すべきものがあります。この種の本で取り扱われることがほとんどない、エンロン事件やサブプライム危機などの金融の大惨事、独ソ戦初期におけるソ連軍の失敗や、SARSの世界的感染拡大といった社会的大事件が取り扱われているのです。もちろん、メキシコ湾原油流出やチャレンジャー号爆発事故、インド・ボーパールの毒ガス漏洩などの工業的大事故、豊胸手術用シリコン不正製造やフォルクスワーゲン・ディーゼル排ガス問題などの消費者問題も取り扱われます。
驚かされるのは、これらの事件事故が、洋の東西、業種・分野の多様さを越えて、どれも同じような情報隠蔽に端を発して起こったとわかること。ノンフィクション好きの方にオススメなのはもちろん、会社組織のリスク管理担当者や、経営に携わる方々が是非とも読むべき一冊です。 (草思社 HPより)