再販制とロングテール戦略

 
ご注意

この記事は2021年1月15日に作成されたページです。すでに内容が古くなっている可能性がありますのでご注意ください。

当たり前のことですが、本はどこで買っても、値段が同じです。これは本には再販制度(再販売価格維持制度)が適用されているからです。

再販制度は「出版社が書籍・雑誌の定価を決定し、小売書店等で定価販売ができる制度」で、「全国の読者に多種多様な出版物を同一価格で提供していくために不可欠なものであり、また文字・活字文化の振興上、書籍・雑誌は基本的な文化資産であり、自国の文化水準を維持するために、重要な役割を果たしています」(日本書籍出版協会のホームページより)。全国津々浦々の書店が、需要の多くない本、たとえば専門書なども在庫することによって、文化水準を維持することが目標です。ただ、人口の少ない地域で書店を続けるのも、需要の多くない本を在庫するのも、なかなか容易なことではありません。

ところで、ロングテール戦略というビジネス用語があります。ロングテール戦略とは、少数の人気商品ではなく、その他の多数の商品の販売量を積み重ねて、全体の売上げをアップさせる売り方です。 オンライン書店のAmazonは、これを実践しています。Amazonは、オンラインによって日本中に本を配送し、ロングテール戦略によって需要の少ない本も在庫することができます。

再販制度の目標の多くを実現しているのは、オンライン書店なのかもしれません。ただ、それぞれの地域に根付いて、地域の人たちと直に接している書店の価値を、まだまだ見い出していけるのではないかと思います。

コラム

前の記事

映像と音声と文字
おすすめの本

次の記事

古事記